AIによる人間剥奪開始プロセス その4

nuclear-weapons-test-nuclear-weapon-weapons-test-explosion-73909.jpeg2018年3月21日(水)

「情報ビッグバン」や「情報の巨大爆発」というデータの加速度的、指数関数的な情報量の増加は、単に未来の人々の正しい情報の取捨選択を不可能にしただけでなく、その天文学的な量の情報処理に膨大な消費電力が必要となったので、未来のAI社会では周期的と言えるほどに、停電が頻繁に起こるようになっていた。それがいつか、「全電源喪失」という致命的な状態となり、それが原因となって、未来においても未だ一部稼働していた世界各国の原発施設の各機器への給電が停止されて、原子力の安全系の設備が制御不能に陥り、甚大な原発事故となる恐れがあった。

もちろん、そうした全電源喪失や「ブラックアウト」に備えて、非常用予備発電装置が発動するようにはなっていたが、2011年3月の福島第1原発事故のように、東日本大震災の大地震と津波の被害で、そうした非常用予備発電装置さえ機能しなくなり、原子炉の冷却が不可能になってメルトダウンや水素爆発が起って、史上最悪の「レベル7」の原子力事故となったように、非常用予備発電装置にも安全を完全に託すことは出来なかった。

それに、未来の多系統発生のAIによる「情報ビッグバン」の時代では、もし、停電やそこからの復旧工事が長引いた場合、そうした非常用予備発電装置による電源供給など、あっという間に怪物のように消費し尽くされる恐れがあったので、やはり、全電源喪失による原子力事故や核ミサイル施設での安全性などが大きく懸念されることとなった。

 

未来は、知的アルゴリズムを実装されたAIによる最適化で、消費電力を大幅に低減させられないのか?とそれを訝る2018年に生きている人々の意見もあるだろう。しかし、前回書いたように、未来に稼働している多系統のAIは「良いAI」や「善意あるAI」だけでなく、その生産的な働きを妨害、破壊するような「悪意あるAI」も同時に世界各国で開発されていたので、「良いAI」によって社会の電力消費を低減させるシステム的な努力と、「悪意あるAI」による、社会の消費電力を一番無駄に使用するよう最適化するシステム的な努力が光と影の覇権争いのように拮抗していたので、2018年当時の人々が考えていたように、AIによる低消費電力社会は、未来Yでは実現されなかったのだ。

また、2018年の当時に期待されていた自然エネルギーを利用した電源確保も駄目だった。なぜなら、未来Yでは異常気象にさらに加速がかかっており、日本の真夏の季節に、突然、大雪や雹が降ったり、逆に、クリスマスや正月シーズンに、40度を超す猛暑や台風が発生したりなど、自然エネルギーを安定的に有効活用する上では、そうした頻繁な異常気象がボトルネックとなってしまったのだ。

 

また、未来の都市圏や生活空間では、至る所に、犯罪対策としてのAIの監視システムのカメラとセンサーが縦横無尽に設置、埋設されるようになっていた。それは1年中365日24時間フル稼働しているので、そうしたAIによる超精細・超精密な人々と自動車などの物理的な動線の完全監視・管理システムというものが、いかに莫大な電力を日々消費するのかが想像出来るだろう。

そして、未来ではドライバー不在の自動運転車や無人の自動配送車が広範に社会に普及し始めていたので、そうしたシステムには高速処理が必須となる。つまり、それがサーバーの処理系において高負荷を与え続けるものとなるので、常に莫大な消費電力を喰うようなAI社会となっていたのだ。もし、電源喪失や高負荷によるサーバーのパンクでAIのコグニティブ・システムでの異常検出や安全確認処理が遅くなれば、それが人命にかかわるような甚大な事故やインシデントを引き起こす可能性があった。

このように、未来ではAIやIoTが人々の一挙手一投足を瞬時に把握し、かつ、その全データはすべてデータセンターにあるサーバー内に保管される。そして、2018年当時の人々のように、要らなくなったデータを破棄するという処理自体が未来のAI社会ではなくなっていた。なぜならデータは、のちに意外なことへの有効活用、再利用ができる可能性があるので、地球上のすべての生命の表現と人々の行動、振る舞い、意見、会話、考え、思いつき、感情の推移、毎日のバイタルデータは、天文学的な量へ至るほどに、すべてAIによって自動登録、保管されたのだった。

 

前回も書いたように、それがいよいよ地球上にあるデータセンターだけでは容量が処理しきれなくなりつつあったので、それを月などの他の星や宇宙空間に一部移管しようという案が出てきた程だった。そのため1つの惑星を地球のデータセンター用として開発し、使用するという革新的な案までもが本格的に識者の間では検討され始めてきた。

そして日本では、東日本大震災の3.11再来の前触れかと思わせるような大きな余震がその未来で頻繁に再び発生し始めていたので、データセンターをそうした自然災害や大地震が起こりやすい日本国内に敷設するよりも、月などの災害の少ないと思われる星や惑星に地球上で処理しきれなくなったデータセンターもろとも移管、構築した方が利点があるだろう、と考える日本の識者や科学者が出てきたのだ。

いくら日本国内に超高度な耐震・免震構造を持つデータセンターを作った所で、その想定を上回る大災害や大地震が起きれば、それらはブッラクアウトして、機能停止してしまうのだから。また、AI化した未来の社会では、天文学的な量に達したデータの処理で、あらゆるデータセンターからは膨大な熱を発生させる文字通り「熱い社会」となっており、未来の日本ではクリスマスシーズンやお正月、春先にもかかわらず、首都圏の気温が40度を超える日が何日かあったほどだった。その点で、データセンターを地球以外の冷たい他の星や宇宙空間に移管するという着想は、そうした加熱や放熱によるプロセッサーの処理速度遅延を回避できるという利点までもが考えられたのだ。

また未来では、そうした異常気象による地球環境の歪みが、日本だけでなく世界各国で発生していた。2018年の時点では地球温暖化説は誤りである、という異説が一部で流布していたが、それは似非科学的な誤謬に基づいた認識であったのが未来には判明した。だから、それは陰謀論と同じような妄想の産物であったことがのちに実証されたのだ。

 

こうしたAI化社会の到来によるデータ量の天文学的な増殖に伴う消費電力の大幅な増大は、AI自身によって予測されていたことなので、人々はその対策として、圧電素子を利用した床発電システムを用いることにした。それは振動や運動を電力へと変換する仕組みで、たとえば、東京駅や渋谷駅、橋梁や道路など、通行人や交通量の多い場所の道に圧電素子を埋設し、人々がその上を歩いたり、車が通ったりする振動の運動エネルギーをその圧電素子に伝え、それを電力に変換して蓄電装置に伝え、それを電力供給源として利用するというものである。

この圧電素子や床発電システムを未来の人々は、あらゆる都市圏、建物内、生活空間に導入したのだが、ここに大きな誤算があった。なぜなら、未来の社会では超高精細なホログラム技術が発達したおかげで、人々の間には通勤、通学という行為が著しく少なくなっており、そのため、駅構内や建物の床に埋設してある圧電素子の床発電システムによる電力供給がほとんど得られない、という事態に陥っていたからだ。

 

2018年当時のマスコミやジャーナリズムの論調だと、未来のAI化社会では、その最適化された知的コグニティブ・システムによって、地球環境にも優しい超低電力消費社会が実現される、と高々と謳っていたが、現実となった未来はその逆であることが判明した。つまり、AI自体が天文学的な量の情報をナノ秒ごとに自動生成するので、それを処理するためのプロセッサーやサーバーの消費電力も指数関数的に増えており、もはや、地球上にあるデータセンターだけではそれらを処理しきれない状態にまで窮していたのだ。

つまり、未来は人類社会全体が世界各国の同時多発的な電源喪失による「ブラックアウト」と機能停止となる真のリスクが、AIによってもたらされる可能性が発生したのだった。

 

 

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